前歯が閉じられない歯並び 開咬・オープンバイト
正しい歯並びとは、前歯から奥歯までのすべての歯が上下でしっかり咬み合っている状態です。しかし中には、奥歯は咬み合っているにもかかわらず前歯が咬み合わず、いつも前歯が開いてしまっているという歯並びがあります。これを「開咬(かいこう)」「オープンバイト」といいます。
「開咬」「オープンバイト」の問題は、すべての歯を使って食べ物を咬めない点。栄養の吸収の妨げや胃腸への負担をはじめ、奥歯だけで物を咬むために一部分に必要以上の負担がかかり、歯や顎の骨、また顎関節などに悪影響を及ぼしてしまうことがあるのです。
ほかにも、お口の中が乾燥しやすいのも大きな問題です。自浄作用を持つだ液が少ないことで、虫歯や歯周病になりやすくなってしまうのです。また、歯のすき間から息がもれ、発音に支障をきたすこともあります。
「開咬」「オープンバイト」の人は、口元にしまりがなく見えてしまうこともあります。他人からの印象も大きく左右する開咬は、早めにきちんと治療することをおすすめします。
開咬、オープンバイトの原因
「開咬」「オープンバイト」の原因には、おもに次の3つが考えられています。
1遺伝
開咬の人は顎が下向きに成長している傾向があり、いわゆる「エラが張っている」人と逆の顎の形をしています。特に「親も開咬だった」という方に多く見られます。
2小さい頃のクセ
小さいお子様の特徴的なクセである「指しゃぶり」は、上下の前歯の間にいつも指があることになるため、開咬を招いてしまいます。また「舌で前歯を押している」「舌を前に出す」「ほおづえ」などのクセも影響します。
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3呼吸器系疾患による口呼吸
鼻炎などによって鼻がつまりやすい人の場合、口呼吸をしやすくなります。口呼吸が続くと口腔内や唇の筋肉が弱まってバランスが崩れてしまい、「開咬」「オープンバイト」を招くことがあります。
開咬、オープンバイトの治療法
顎が狭い場合 | 奥歯を抜き、歯が動くスペースを確保して矯正治療を行います。 |
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顎の骨が 大きくずれている場合 |
上下の歯が正しく咬み合うように、顎の骨を切断して移動させる外科手術を行います。 |
「開咬」「オープンバイト」の治療は、顎と歯の大きさのバランスなどによって一人ひとり異なります。さまざまな不正咬合の治療の中でも、「開咬」「オープンバイト」の治療は難しいといわれていますが、矯正専門医による適切な治療を受ければ、症状を改善させることができます。理想的なスマイルラインを手に入れるために、一度当院までご相談ください。
開咬、オープンバイトの治療例
歯と歯の間にすき間がある歯並び すきっ歯・正中離開
歯と歯の間にすき間ができている歯並びである、いわゆる「すきっ歯」。目立つのは前歯ですが、歯列全体や奥歯にすき間があるケースもあります。正式には、歯並びの中心である前歯と前歯の間が開いている状態を「正中離開(せいちゅうりかい)」、歯列全体や奥歯にすき間がある状態を「空隙歯列(くうげきしれつ)」といいます。
「すきっ歯」の問題は、見た目が気になるのはもちろん、歯の間に食べカスが挟まりやすくなることで、虫歯や歯周病になりやすい点です。また、すき間から息がもれることで、発音に支障をきたすこともあります。
乳歯の時期の「すきっ歯」は、大きい永久歯への生え変わりによって自然に埋まることが多く、心配はいりません。しかし、永久歯になってからの「すきっ歯」は自然に治ることはないため、矯正治療をおすすめします。
すきっ歯、正中離開の原因
「すきっ歯」の原因には、おもに次の3つが考えられます。
1歯と顎の大きさの違い
顎の大きさに対して歯が小さい、あるいは歯の大きさに対して顎が大きいという場合、すきっ歯を招くことがあります。
2歯の本数が少ない
まれに、遺伝や先天的な理由によって歯の本数が通常より少ない場合、また何らかの原因によって歯が埋まったまま生えてこないという場合があります。本来並ぶはずの歯の本数がないことで、すき間ができてしまうことがあるのです。
3小さい頃のクセ
前歯のすき間にいつも舌を入れ、押すようなクセ(舌前突癖:ぜつぜんとつへき)があると、すきっ歯になりやすくなります。
すきっ歯、正中離開の治療法
前歯だけに すき間がある場合 |
前歯だけに部分矯正を用います。 |
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歯が極端に小さい場合 | クラウン(被せ物)やラミネートベニア(つけ爪のようなセラミック製の薄い板)によってすき間を埋めます。 |
咬み合わせに 原因がある場合 |
咬み合わせを整える矯正治療を行います。 |
治療法は、すき間がある場所やすき間の度合いなどによって一人ひとり異なります。成長期に治療ができればよい結果を得やすくなるため、お早めにご相談ください。
すきっ歯、正中離開の治療例
下の前歯がほとんど見えない歯並び 過蓋咬合・ディープバイト
正しい咬み合わせの場合、自然に口を閉じたときに上の歯列が下の歯列を4分の3ほど覆っています。しかし中には、深く被さりすぎてほとんど下の歯列が見えない咬み合わせがあり、その状態を「過蓋咬合(かがいこうごう)」または「ディープバイト」といいます。
「過蓋咬合」「ディープバイト」の問題は、咬み合わせるときにあります。下の歯が上顎の裏側に強く当たることで、歯の根元や歯ぐきを傷つけてしまうことがあるのです。また、咬み合う力が強すぎることで前歯がすきっ歯になったり、歯周病を招いてしまったりすることもあります。さらには、顎関節にも負担をかけ、顎関節症(※)になることも。
※「口が開かない」「口の開閉時に顎がカクカク鳴る」など、顎関節周辺に起こる症状の総称です。
咬み合わせは、加齢とともにより深くなっていく傾向があります。大きなトラブルに発展する前に、お早めに矯正治療を受けることをおすすめします。
過蓋咬合、ディープバイトの原因
1骨格の問題
小さいお子様の場合、骨格が影響していることがあります。
2奥歯の欠損
虫歯や歯周病など、何らかの理由によって奥歯を失った場合に、過蓋咬合になることがあります。
3強すぎる咬み合わせ
咬み合わせる力が強すぎる人は、過蓋咬合になりやすい傾向があります。
過蓋咬合、ディープバイトの治療法
「過蓋咬合」の治療は多くの場合、矯正装置を歯の裏側に装着する舌側矯正(ぜっそくきょうせい)で行います。下の奥歯の位置を高くして上顎の歯列を後ろに移動させることで、咬み合わせを整えていきます。症状によってはインプラント矯正を併用するケースなどもあり、治療法は一人ひとり異なりますので、まずは一度ご相談ください。
なお、小さいお子様に過蓋咬合の症状が見られる場合には、永久歯への生え変わりによって自然に治るケースもありますので、早いうちから経過観察を行うことが必要です。
過蓋咬合、ディープバイトの治療例
矯正装置にはさまざまな種類があります。
当院では矯正認定医が、一人ひとりに合った装置をご提案します。
装置についてくわしくは、「当院の矯正装置」をご覧ください。
矯正治療は、開始時期や治療法など、一人ひとりまったく異なります。
治療のご相談については、
「カウンセリング・セカンドオピニオンをご希望の方へ」をご覧ください。